2005年12月20日火曜日

「日本の雑木林はニセモノだ、本来の森に帰せ」(宮脇昭)



今朝のNHK総合「知るを楽しむ選 この人この世界」はたいへん勉強になった。日本中の植生を徹底的に現地調査して『日本植生誌全十巻』をまとめた宮脇昭先生は、日本には土地本来の森は 0.06% しか残っていない、全部人間が手を入れて人工的な森にしてしまったもの、これが諸悪の根源であると言う。

曰く:
  1. 今の里山のクヌギなどが中心の雑木林は人間が人工的に作ったもので、本来の植生はシラカシなどの常緑樹、海岸部は照葉樹林。
  2. 現在の雑木林は20年に一回の伐採と三年に一回の下草刈りが前提。それをやらないと維持できないニセモノの森。
  3. マツにしてももともと条件の悪い山頂部などに限定して生えていただけのもの。それが人間が広げてしまった。マツクイムシの大発生は自然の摂理。
  4. 自然災害もこのために起こる。
  5. 元に戻すのが一番。そのためには200年間は森に人間がへんな手を加えないこと。200年で元に戻る。

「田舎の里山の伝統的生活にこそが環境を守る」としょっちゅう主張しているNHKにしては、めずらしく科学的で公正な番組。地方では、自然環境を守るとかいって、ボランティアを動員して里山の伐採とか下草刈りをしているらしいが、何もしないことが一番の自然保護なのである。ここにも「省事」が望まれる。

何もしないで森を自然体で放置すると美しい極相林が出来上がることは明治神宮の森を見ても明らか。明治神宮の場合わずか100年で極相林になった。

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